絵本 「大きな矢印」のご紹介
飛ぶ鳥

ブルーライン

ある日、野原に大きな矢印が天の方を指して立った。

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 次の日、キツネが通りかかり、やはり、
   何であろうか
 と、見上げた。気の弱いキツネは、しげしげと
 艶やかな黒い矢印を眺め、そっと近寄った。
 矢印の方向を見上げたとき、あまりに深い空の色に、くらくらと座り込んだ。
  ………………
 けれども長い雲が流れてゆくだけで、空はがらんとしたままだった。
キツネと大きな矢印

















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 ところがある日、急に矢印が無くなった。
  ………………
 クマもやって来て、変に思い周りをかき分けてみた。
  地面に潜ったのだろうか
  それとも誰かが持ち去った?
  ………………
 ある日矢印が無くなった


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キツネがおや、と目を細くした。ウサギは目をしばたたかせた。
クマも背を伸ばした。
がらんとした空の奥を、影が飛んだように思われた。
矢印だったか?
  ………………

がらんとした空の奥を、影が飛んだように思われた
















………………
 こうして、季節が幾度となく過ぎた。
  ………………
 石の道と建物が、あたりを覆い尽くすようになった。
 それでも不思議なことに、矢印のあったあたりに来ると、
 歩いていた人々は時折立ち止まった。
 そして野原で皆がしたように、ふっと上を見上げるのだった。

矢印のあたりに来ると、ふっと上を見上げるのだった。











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